夜になり事務所を出て少し涼しくなったこともあり、三条大橋まで歩くことにした。
三条大橋につくと鴨川のヘリにはカップルたちがいつものように等間隔でならんでるわけですよ。
そこで一人で弾き語りをやっている青年(たぶん、暗くてわからない)がおりました。
みーんな川に向かってカップルが背を向けているのに、その後方から、一直線かつ等間隔に並んでいる背中に向かって熱唱しはじめました。
しかし彼は、甘い声ならともかく、とにかく歌声がひどく、近年、こんなにひどい路上ライブはいないってぐらいの音痴でした。例えるならわたしと同じぐらいに……。
あまりにもあんまりな歌声にわたしは逆に気になって、橋の上から川岸をよーく見おろしてみると、弾き語りではなく、カラオケのようでした。
総スカンを食らっている状況なのに、一曲を歌い終わった彼は自己紹介を始めます。
「みなさん、ありがとーっ!わたしは、こうやって路上で歌っている★★といいます。」
「今日は、これからここで一時間半ほど、、、ライブさせていただきますっ!よろしくっ!」
と言って二曲目にうつったのですが、並んでるカップル全員が「苦行かよ!」と内心突っ込んでいたのに違いなかったです。
(歌っている彼こそが苦行かも)
(おしまい)