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sekerto internacionalo

夏の思い出、あるいはリアル脱出ゲーム

今週のお題「ちょっとコワい話」

・・・

 

ちょっとコワい話かどーか怪しいけど、わたしが怖い思いをした話をひとつ。

 

わたしの母も父も生まれがお寺なもんで、夏はよくお寺ですごしておりました。

ある暑い夏の年の夏休みもそんな感じで、母と母の実家(お寺)へ行き、そこで暮らしていました。

 

しばらく何ごともなくすごしていたのですが、ある日、母から呼ばれました。

「せくれとちゃん、おいで。いいもの見せてあげるよ。」

 

ちょっと退屈だったわたしは「なに?なに?」って感じで、ほいほいとついていきました。

 

お寺の本堂から地下へ続いている階段が一つあり、そこを降りて右へ行ったところに大きな扉があることを知っていました。その階段を母が降りていきます。

降りた先にある扉はイメージ的には銀行にある金庫の扉みたいに頑丈で分厚い金属でできた扉です。ついでに大きなハンドルがついています。金庫みたいというか、金庫の仕様なのでしょうか。核シェルターみたいと当時は思っていました。そこに母はいました。

 

「おいで……」

 

母は扉の中にはいってわたしを招きます。

母に続いて、大きな扉をくぐったら、そこの部屋は壁一面に白い湯呑みが3方の壁びっしりと並んでいました。しかし、よくよく見てみるとそれは湯呑みではなく、同じく白い陶器で蓋がしてありました。お寿司屋さんで茶碗蒸しを頼んだら、でてくるような器です。

 

「ほら……みてごらん」

 

母は茶碗蒸し容器を一つ取り出し、蓋を開けました。そこには白い、サンゴの化石のようなものがおさまっていました。

 

「これはね、人間の骨なんだよ……」

 

うれしそうに笑いながら説明する母にわたしは恐怖を覚えました。そう、これらは骨壷だったのです。

 

「怖いねぇ、人間ってみんな最後には骨になるんだねぇ」

 

母はなぜかニコニコしていいます。

 

「触ってみる?」

母は人骨を取り出してはうっとりして眺めだしました。わたしは怖くてどうしていいかわかりません。

 

「あはははは、驚いた顔して」

母はそういってにっこり笑うと、急に部屋から飛び出しで、金庫のようなドアをしめてわたしを閉じ込めました。

 

「!!!」

わたしは驚くやら、怖いやら、信頼していた母に嵌められた感あるわで恐怖の絶頂でした。扉を押しても動きません。おそらく閉じ込められたのでしょう。

 

(……残りの人生、わたしはこの部屋で生きていくんだろうな……)

 

なんどもやって諦めた頃に扉があきました。たまたま法要が終わってもどってきた叔父さんがわたしがいないことに気が付き、部屋から出してくれたのです。そして、助かったという安堵と同時に、それ以降は今までと同じように母と接することはできなくなりました。

 

暑い夏の日が来ると、わたしはふと思います。母の発作的な凶行の理由が知りたいと。

 

……想像ですが、母はわたしを殺した後、火葬し、わたしの骨もあの部屋にならべたっかんじゃないのかなーと思うのです。

 

(おしまい)