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食パンおじさんの話

アンパンマンにカレーパンマン、そしてイケメンの食パンマン。

これは誰もが知っているキャラクターだが、うちの近所にも食パンおじさんが住んでいる。別に食パンの被り物をしているわけでも、顔の形が食パンっぽいわけでもなく、普通のおじさん(スーツ姿)です(多分40代後半)。

 

わたしが利用しているバス停は、ゆるやかなカーブの途中にあります。そこで、バスを待っていると、わりと時間に正確にバスはやってきます。そして、そのバスがカーブの先からあらわれると、それを追い抜くように食パンおじさんがカーブからあらわれます。

毎日毎日、毎朝毎朝、バスを追い抜くように走ってくるので、食パン少女ならぬ、食パンおじさんとわたしが心の中で命名したのでした。

 

ちなみに、朝、バス停で待っている人たちの中では一番、家が近いとおもわれるのですが、人間なかなか生活の改善はできないもので、わたしが今の住所に引っ越してから6年ほど、毎朝走ってくる姿を見ます。

 

そんなある日、バスがカーブからあわられても食パンおじさんがやってきませんでした。あれ、おじさん休みかな?病気かしら?と思った矢先、バスがバス停に止まった時でしょうか、おじさんの姿がカーブの先からあらわれました。

ウサイン・ボルトなみにダッシュをかますおじさん、必死の形相でした。しかし、無情にもバスは我々だけを乗せて、おじさんを乗せること無く発車しました。

これ、絶対、運転手さんは気がついていたと思います。

 

それから食パンおじさんは毎朝走り込んでくる日々を反省……することもなく、今朝も「遅刻……遅刻……」とばかりに走り込んできたのでした。

 

 

(おしまい)